2019年11月13日

個々の葬儀方法に大きく影響を与える社会の風潮

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

年々、社会に高齢者が増えるにつれて亡くなる人も増えてきたので葬儀件数も自ずと増加しています。このため、大都市圏の火葬場がフル稼働していますが、通夜と告別式の日程を葬儀業者と決めようとしても火葬場が込み合っていて待機していなければならない地域があるようです。

また、通夜と告別式の方法が親族の減少や隣近所との付き合い減少等の影響を受けて急速に変化しています。以前、人が亡くなると親族以外に隣近所や職場の友人、知人まで多くの弔問客の訪れる一般葬が当たり前でしたが、最近は、少人数の近親者だけでこぢんまりと行う家族葬が増えてきました。

世の中に高齢者の独居暮らしや夫婦だけの世帯が増えた結果、亡くなる年齢になる頃には住まいの周辺に知り合いがすっかりいなくなっているからです。そこで、弔問に来てくれそうな友人、知人が少ないと喪主は通夜と告別式を合わせて一日葬にしたり直葬で済ませてしまうことも増えるわけです。

このように葬祭行事が簡素化される背景にはなるべく費用をかけたがらない風潮が国内だけでなく世界各地に広まっていることも考えられます。また、親族間で付き合いの殆どない独居生活の人が自宅外で亡くなると遺体引き取りを断る親族がいることもあります。

このため、引き取り手が見つからずにやむを得ず身元不明のまま地元自治体の手で処理されるケースも増えてきました。こうして、本来は宗教が異なれば葬祭行事方法も異なっているはずですが、ライフスタイルが多様化するにつれて葬儀が全くの形式的行事と化してきたように見えます。バブル崩壊以後の不透明な景気動向を反映して、必要性があってもなるべく費用を抑えようとする経済的合理性を前面に出す風潮が冠婚葬祭行事全体を覆っているようです。

About Me

管理人の石崎薫と申します。兵庫県に在住で葬儀会社に勤めた経歴を持っています。

詳細ページ